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Thrashkick(スラッシュキック)解説

さて。今年の10月にこんなことをTwitterで呟いた。





全然近日じゃなくてもう2か月前になるが、C91で2枚目のThrashkick音源「Thrashkick Must Die v1.0」(https://ezkcd002.tumblr.com/)をリリースするので(土曜西1れ-23ab)、そろそろ経緯も含めてThrashkickについて解説しておこうかと思う。

SPEEDCOREが誕生して20年以上が経ち、自身も20年近く作っている。有り難いことにリスナーも国内外に結構いる様で、昨今はゲームで使われたり、後続のトラッカーも出てきて、それなりに裾野は広がった様に思えるのだが、やはりどうも一部の層向けの「キワモノジャンル」感を拭えずにいる気がする。
そもそもダンスミュージックの一種なのに速すぎて踊れないという根本的な矛盾を抱えているジャンルなので、キワモノ扱いされるのは当たり前ではあるのだが、このままではこれ以上の展開は望めなく思い「速い・うるさい」という性質を維持したまま1ダンスミュージックジャンルとして一般層へ浸透させる方法をここ何年か考えていた。

何故、SPEEDCOREが20年以上経っても未だ一般層まで浸透できていないのか。元々はメインストリーム(ハードコアだけでなくダンスミュージック全般)へのアンチテーゼとしての側面もあるジャンルなので、それならば一般層に浸透しないのは当然だが、少なくともm1dyはアンチメインストリームとしては作っておらず、そうした姿勢のトラッカーは他にもいる。身も蓋もない言い方をすれば「ヒット曲がないから」浸透しないのだが、それ以前にヒットする下地すらないのも原因の一つかと考え至った。
SPEEDCOREがフロアに流れるのはトラッカーのライブが中心で、専門のDJもいるにはいるが少数しかおらず、他ジャンルのDJがSPEEDCOREトラックをミックスに使うことは殆どない。これでは拡散性が低く、新しい展開が望めないので、まずはDJに気軽に使って貰えるようにする必要性がある。やはりCDや配信ではリスニングミュージックとしては拡散できても、イベントやフェス等で頻繁にかからないことには一般層へのダンスミュージックとしての浸透は難しく思える。

では、DJ諸氏に現場で音源を使ってもらう為には何をするべきか。自身のライブ経験から、観客はSPEEDCOREに「モッシュ」で対処する傾向があり、盛り上がっている状態であればかけても(曲調にもよるとは思うが)ヒートアップはしても盛り下がることはない様に思える。これは恐らくSPEEDCOREをチェックして性質を把握しているDJには理解して頂けると思うが、それでも実際のDJプレイで使われることはない。
何故か。それは単純に「速すぎて繋ぎようがないから」「そもそも繋ぎ代がない音源が多いから」「音質・音圧が曲によりバラバラだから」なのかなと。

上記のことを長年DJとして活躍しているM-Projectに相談し、二人で一年以上「BPMを下げたらいいのか」「でもそれじゃスピコアじゃなくなる」とか「アップテンポハードコアのフォーマットで作ってみては」「あれは250BPMくらいが限界だろう」等、あれやこれやと考え、とりあえずDJが使いやすい仕様を取り入れたSPEEDCOREを作ることにした。BPMをギリギリ身体でリズムが取れる300に固定し、150からでも300からでも繋ぎやすい繋ぎ代を設け、音圧は昨今のEDMくらいに合わせて…等、どうしたらDJが現場で使いやすいかMプロと相談しつつ、試しに何をやろうとしているか公言をせずに拙EP「Do The Shit」(http://mdstep003.tumblr.com/)に収録されているタイトル曲と「Turn up da Bass」の2曲を作ってみたが、ブレイク明けで中途半端な1小節を入れてしまったりして「これじゃDJは繋ぎ難いすよ」と駄目出しされたり。そこから「構成や展開も仕様化して(SPEEDCOREの)サブジャンルにすれば他のトラッカーも作ることができ、それにより曲数が増えれば更に拡散されやすくなる」という結論になり、近所の沖縄居酒屋で泡盛を飲んでる最中に思い付いた「Thrashkick」をジャンル名に使うことにし、Thrashkick専門レーベル「EZiKi」の立ち上げに至る。

以下は「Thrashkick Must Die v1.0」を企画の際、各トラッカーに配布した「Thrashkick仕様書 v1.1.2 by EZiKi」からの転載。

th_manualv1.jpg

まだ立ち上げて間もないジャンル故に仕様面での改良の余地はあり、曲数も少ない状態ではあるが、現状ミックスしやすい状態にはなっており、150BPMからでも繋げるのでEDMやハードスタイルを普段かけているDJ諸氏にもガンガン現場で使って頂けたら幸甚。また、自分もThrashkickを作ってみたいというトラッカー諸氏がいれば、info@m1dy.comまでデモ(とりあえずジャンル問わず)を送って頂ければと。

暫くはThrashkickトラックを増やしていくつもりだが、もうとんでもない速さの頭のおかしい曲を作らないという訳ではないので。あれはあれで今後も作る、と思う。

June.3.2018 P.S.
Thrashkick is a new subgenre of speedcore.
In the past, speedcore tracks have varied wildly interms of both BPM and harshness of sound, and rarely if ever included the substantial intro and outro sections necessary to facilitate DJ mixing, all of which has made the genre quite difficult toDJ.
Thus, Thrashkick was created: a new style emphasizing accessibility for DJs and based in an established set of rules: a standarized BPM of 300, an even balance of sound, and the addition of full intros and outros to tracks.
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  1. 2016/12/29(木) 05:19:52|
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